石畳の坂道、霧に覆われた古城、路地裏のカフェ、街を見下ろす丘。
エジンバラで過ごした大学生活は、毎日がポストカードみたいな風景だった。
アートを鑑賞することが好きだった私は、美術品と関わる仕事がしたいと物心ついたころ思い立ち、いつかイギリスの大学院で美術史の勉強をする、と心に決めた。そして先月、無事修士論文を提出し、目標をひとつ達成した。
が、いざ目標を達成してみると、つかの間の達成感のあと押し寄せるのは、
「さて、これからどうしようか。」というモヤモヤ。
1年間、一度に消化しきれないほどの専門書を読み、エッセーを書き、
新しい知に出会う興奮と同時に、まだ見ぬ知の大きさにおののいた。
視野が広がることで、逆に前まではっきり見えていたものが見えなくなることもある。
これからどういうかたちでアートと関わりながら生きていきたいのか、今、もう一度問い直すときが来たのかもしれない。
成長と進歩には、そんな自問自答と軌道修正がつきものなのでしょうか。
現在、人生のひとつの分岐点に立ち、
「社会人」へのジャンプ台の前で、地団駄踏んでおります。
行くべきところ、特になし。
未来の計画、あるようでなし。
かつてない自由を手に、ある種の焦りと不安にかられ、「今」を生きることの難しさを実感中。
